最近は、HSPといわれるような概念が広がってきました。HSPとは、「ハイリー・センシティブ・パーソン」の英語の頭文字を略したものです。とっても敏感な感性の人、という訳し方になります。
実はこういった非常に敏感な感性を持つ人は、突然現れたのではありません。
昔から報告はされているのですが、あまり知られていなかったのです。
そして、現在になってクローズアップされてきたという状況です。
HSPの方は、鍼灸の世界では「経絡敏感人」という概念で把握されてきました。
1970年代の中国では、国家を挙げて鍼灸の科学的治療効果の探究が進められました。
その過程で、患者さんに鍼灸治療を行った際、人体を流れるエネルギーの通路である「経絡」の流れを感じ、くわしく説明することのできる患者さんが続出したのです。
鍼灸の知識、経絡の流れの知識をほとんど知らなかったであろう患者さんたちが、具体的な経絡の流れをさし示したという事実があったのです。
「経絡」の流れは私たち鍼灸師もひととおり教育されてきたのですが、経絡の流れを自分自身の身体で実感できる鍼灸師は少ないのではないかと感じます。
そういった中での「経絡敏感人」の話す内容は、目に見ることのできない「経絡」の実在を裏付ける証拠として注目されたのです。
しかしながら、「経絡敏感人」が注目された時代は1970年代でした。
時代の流れの中で、その存在はいつしか忘れ去られていったのです。
そういった背景の中で、提唱されてきたHSP。
HSPの方は、現代版「経絡敏感人」とも言い換えることのできる存在でもあり、鍼灸治療においては早くから対処法が工夫されてきた、ということが言えます。
肩甲骨まわりをほぐす整体院においても、私自身の経験からあみだした、HSPの方への有効な対策を用意しております。
・・・・・・・・・・
当院では、「身体の防御機能をつかさどるバリア機能の強化」を目的としています。
※ここで言う「バリア機能」とは、目に見えるものではなく、エネルギー的な機能のことだと考えて下さい
HSPの方は、バリア機能が繊細になりすぎている(=薄くなっている)状態の方が多いようです。
バリア機能が繊細になってしまう理由
身体には中心にエネルギーを集めようとする力が働いています。
そして、エネルギーが中心に集中していれば、バリアもしっかりと張り巡らされた状態になるのです。
逆に中心にエネルギーが集まらなければ、エネルギーが拡散していく一方になり、バリア機能が薄くなってしまうのです。(→図を参照)バリア機能がうすくなるので、自分と他人の境界線があやふやになり、結果として他人や環境に影響されやすくなるのです。
そこで、身体の中心にエネルギーを集中させ、バリア機能を強くしていくことが必要になるのです。
肩甲骨まわりはバリア機能の状態が分かりやすく表現されるところです。ですから、バリア機能をととのえるために肩甲骨まわりを刺激してゆるめていく必要が、あるのです。
最終的に身体の正中線を通る軸にエネルギーは集約されます。
その通路のことを任脈(にんみゃく)・督脈(とくみゃく)といいます。督脈上には、肩甲骨が位置していますが、肩甲骨でエネルギーがとどこおりやすいのです。肩甲骨まわりがほぐすことができれば、エネルギーの通路のとどこおりが解消され、エネルギーが集約されます。バリア機能が回復してくるのです。そのために肩甲骨まわりをほぐすのです。
繊細さを残しながら、エネルギーを集約させることが大切。
施術すると、感性の鋭さが失われてしまうのではないか?という不安を持たれる方もおられると思います。力まかせの強いマッサージだと、そのようなことが起こり得ます。
ですが…
私が提供しているような、身体の繊細さを最大限生かす施術をすれば、感性が鈍くなることはありません。
以下に少し専門的なことを書きます。
感性の鋭い方を施術するときに重要なことは、クライアントさんの身体がリラックスすることです。
そのためには、クライアントさんの身体が整体の刺激を受け入れる準備がととのうまで「待つ」ことがきわめて重要です。クライアントさんの身体の準備ができたとき、身体から「GOサイン」が私の方に送られてきます。それが出たことを確認してから施術を始めなければ、ならないのです。
もちろんですが、施術の強さの調整ができることが必須です。
そのような手順を踏むことで、感性の繊細さは残しつつも周りの環境に左右されすぎてしまう部分を調和させることが可能になるのです。
身体のなかを「風」が通り抜けていく感覚
施術中にクライアントさんからよくいわれる言葉のひとつです。
HSPの方には、とくにこの感覚が鋭い方が多いように感じます。
その感覚を感じ続けていくこと、そんな感覚を味わうことが一番の解決法になるのではないでしょうか?