膏肓(こうこう)は、肩甲骨の内側にあるツボです。このツボがエネルギー的に詰まった状態(=肩甲骨まわりがこり固まってしまっている状態)になっていると、どのような問題が出てくるのか、心理的な側面からお伝えします。
膏肓を身体の横側から見た図と、背中から見た図です。膏肓は心臓のエネルギー中枢(=中丹田)の裏側にあります。
膏肓が詰まっていると起こりやすい7つの心理的問題とは
東洋医学では、膏肓を中心とするエネルギー中枢が詰まっていると次のような7つの心理的な問題が起こる、と指摘しています。
①自分が孤独であると感じる
②自分に価値がなく、とりえがないと感じる
➂自分がそのまわりの人間や環境とほんとうにつながっていないと感じる
④自分が人から愛されていない、人を愛することができないと感じる
⑤自分が哀れな状況にあると感じる
⑥自分が人から攻撃されているように感じる
⑦自分が人から圧倒され、低く見られ、急がされているように感じる
上記の問題点を要約すれば、孤独感と無価値感を感じているというイメージになります。こういった問題があるとき、基本的には心理的なアプローチがとられることが多いと思います。実際に上記の7つの問題点を解決するために、心理的側面からのさまざまな工夫や努力が重ねられています。
孤独感を例にあげます。
孤独感を解消するために、人と会う、趣味を見つける、旅行をしたりすることなどが思い浮かびます。
それも大切なアプローチです。しかし、人によっては誰とも会わず話さず、の状態でも孤独感を感じない人もいます。こういった差は、どうして生じるのでしょうか?
孤独感は、独りになることで生まれるのではなく、他の根本的な要因があるのではないでしょうか?
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たとえば孤独感が身体に存在するエネルギー中枢の詰まりや機能低下に起因するなら、心理的側面からのアプローチに加えて身体からのアプローチを検討する余地が出てくるのではないでしょうか?
孤独感や無価値感は、肩甲骨まわりのエネルギーの詰まりが原因だと考えるならば。
たくさんの人やモノに囲まれているのに、なぜ私は孤独を感じるのだろう?と悩んでおられる方のケースを、治療家の立場からよく聞いて参りました。一見すると何不自由なく暮らしているように見えながらも、その方々の抱える孤独感は大きく、深刻なものでありました。
私自身の経験からの探究
かく言う私も20歳代前半から孤独感に悩んできた経験があるのです。
孤独感を強く感じていた時、自分自身のからだのどの部分が痛み、反応しているか、ということを実際に確かめてきました。
同時に解決策を求めてさまざまな資料や文献をあたり、さまざまなワークショップへの参加をつうじて、ひとつの答えを見出すことができました。
それが。
「肩甲骨の内側を中心とする部分が強くこった(=エネルギーが詰まった)状態が続いたとき」に孤独感や無価値感が現れてくる、ということでした。
心身一如という東洋医学の視点から。
東洋医学的な視点では、心理的な不調は身体面でも表現されていると考えます。
そのことを「心身一如」といい、こころの問題は身体に表現され、身体の問題はこころの問題として表現される、としています。
とするならば、孤独感は身体のどこにあらわれているのだろうか?ということを探していくことができます。
そうやって試行錯誤を重ね、肩甲骨まわりのエネルギー的詰まりを解消することが孤独感の解消に重要であるという考え方にいたりました。
孤独感は加齢にともなう現象ではない。
高齢者の心や身体の変化にともなうさまざまな心身面での問題に対処するうえで、老年医学などのジャンルもあります。
そのなかでふれられる問題の一つに、「孤独感」があげられています。
そういった視点からみれば、加齢にともなう心身のおとろえから「孤独感」が生まれてくる、という考えができるでしょう。しかし、肩甲骨まわりをほぐす施術をしていくと、孤独感が明らかに減少したと思われる高齢の方もおられました。
ですから、加齢が孤独感の原因とは言いきれないことも多いです。
また、「孤独感」は全世代、年齢を問わず出てくるものです。
加齢による心身の機能低下によっておこるものであれば、若い人にも起こっている現実を説明できません。
でも、「背中の肩甲骨まわりのエネルギー的詰まり」が孤独感を引き起こす原因であるならば、孤独感が全世代に起こってくることも説明できるのではないでしょうか。
孤独感が病気の発症要因になり得るという論文が発表されています。
「孤独を感じやすい人は、人口統計学的要因・社会的孤立・遺伝的リスク・身体的、精神的健康とは関係なく、パーキンソン病の発症リスクが1.37倍高まる」という論文がアメリカのフロリダ州立大学の研究グループより発表されました。
※学術誌「JAMA Neurology(2023年)」より
つまり、孤独感を感じるという心理的状況そのものが病気の原因になる、というデータが出たということなのです。孤独感を解消することが、いかに重要であるか、を示しているように思います。
孤独感があるときこそ、肩甲骨まわりをほぐすことが必要なのです。
現状では孤独感は心の問題と考えられています。多くの方がそのように考えておられるのではないでしょうか?
でも、背中にエネルギー的な詰まりがあれば、孤独感は簡単に生まれてくるのです。
ですから、肩甲骨まわりをほぐし、背中のエネルギー的詰まりを解消していくことができれば、それは、孤独感への有効な対策になると思います。
自分の満足を優先的に考える。自己チューのススメ
肩甲骨にエネルギー的な「詰まり」のある人は、まわりの人にあわせてしまいやすい人が多いようです。
自分がしている行動が「うまくいっている」と思うときの基準が、まわりの人たちに受け入れられるかどうか、を基準にしてしまっている方が多いように感じます。
自分がまわりからどう思われるか、を常に考えてしまうクセがあると、エネルギーがチカラを発揮することができにくくなります。ですから、まわりに合わせるのではなく、自分の気持ちを優先していけるように考え方を変えていくことが必要です。
そのときに肩甲骨をほぐすことも同時並行的に取り入れると、よりスムーズに解決に向かう可能性も出てくるのではないでしょうか。
人とのつながりがゆたかだと、健康的に生きることができる
自分ひとりで定期的な運動をすることよりも、「人とのつながり」がゆたかなほうが寝たきりの危険度を下げるということも明らかになってきています。
この実験結果からわかることは、人間関係をゆたかにしていくことが健康的に生きる上でとても大切であるということですね。
うらがえせば、私たちが孤独になる・孤独と感じることは、健康的な生活を送る上ではマイナスの影響となる、ということです。
コロナ禍の引きこもりは、「人とつながるチカラ」を弱めてしまう
コロナの流行によって、私たちは引きこもりを余儀なくされ、孤独感を感じることが多くなったように感じます。そのことは、私たちが健康的に生きる上でのマイナスの影響が出やすくなっていることを意味します。「人とつながるチカラ」が弱ってしまいやすいのです。その結果、肩甲骨まわりがこわばり、エネルギーが流れにくくなる可能性があります。
コロナ禍を生きる私たちは、こういった影響について想定し対策することも必要になってきてきているのではないかと思います。ですので、この機会に
肩甲骨まわりをほぐして、
「人とつながるチカラ」を活性化させ孤独感を減らしていきましょう!